社長メッセージ(社長就任・決算発表に寄せて)

2023年04月28日

社長就任並びに2023年3月期の決算発表に際し、代表取締役 社長の斉藤からステークホルダーの皆様へのメッセージを以下のとおりお知らせします。

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社長の斉藤です。ステークホルダーの皆様、当社は本日、2023年3月期の決算を発表いたしました。決算内容と次期見通しについて概括のうえ、経営の方向性についてご説明させていただきます。
(各項目の詳細については「別紙資料」もあわせてご覧ください)

前期(2023年3月期)の業績について

前期は、営業収益3,005億円(2022年3月期比16.9%増)、営業利益230億円(26.9%増)と大幅な増収、増益となりました。
これは、物流各事業において営業活動の成果として取扱い数量が増加し、特に国際運送取扱事業において、
・ 北米を中心とする世界的なサプライチェーンの混乱、輸送コンテナ不足等にともなう運賃単価の大幅な上昇(2021年から2022年にかけて運賃単価が2倍以上に上昇)
・ 2022年3月期は1ドル110円台前半で推移した為替レートは、前期は一時150円になる等大幅な円安が進行(130~140円台で推移)
といった要因が寄与したものであり、更にコスト削減努力もあって営業収益・利益ともに過去最高を更新しました。
また、経常利益は、保有株式の受取配当金増加等により300億円(29.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2022年3月期を大きく上回る政策保有株式の売却による投資有価証券売却益の増加等により272億円(52.2%増)と大幅な増益となりました。
この結果、ROEも経営計画[2022-2024]の最終年度目標としていた7%を上回る7.8%と2.4ポイント改善しております。

当期(2024年3月期)の業績について

当期も、経営計画[2022-2024]に沿った営業活動が順調に進み、成果を上げておりますが、当社事業を取り巻く環境は人手不足や電力料・燃料費高騰等により厳しさを増すとともに、前期に好業績であった国際運送取扱事業では、2022年後半から運賃単価が下落に転じて現在は2021年初めの水準まで戻ってきており、為替レート水準も前期より円高となる130円前後で推移していることから、前期の大幅な増収・増益に寄与した要因は剥落する見通しです。
また、海外事業基盤の強化にともなう一時費用の発生等を見込んでいること等から、営業収益は前期より10%近く減収、営業利益は2022年3月期と同水準の180億円(前期比約22%減)を予想しております。
今後、物流、不動産の両事業で事業基盤、営業力の強化のほかDX活用等による業務効率化、コスト削減により利益を創出することによって当期の利益減少を抑制するとともに、経営計画[2022-2024]における最終年度の利益目標としている営業利益200億円以上を確実に達成するよう努めてまいります。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式売却を推進のうえ前期を上回る約120億円以上の有価証券売却益を実現することによって、当期は240億円(2022年3月期比約34%増、前期比約11%減)と予想しております。
この結果、ROEは6.9%を見込んでおりますが、7%台への早期復帰を目指すべく業績、資本効率の向上に取り組んでまいります。

株主還元は、DOE2%以上の安定的・継続的配当を実施する方針として、前期は中間配当金41円、期末配当金49円の計90円としております。当期配当は、DOE2%以上を維持しつつ株主還元の一層の充実を図り、中間配当金50円、期末配当金50円の計100円、10円増配を予定しています。経営計画[2022-2024]期間中に300億円以上の実施を計画する自己株式の取得については変更なく、当期から来期中に200億円相当を取得、今後も機動的に実施のうえ株主還元の充実を図ってまいりたいと考えております。

後ほど内容をご説明する戦略投資や事業投資を行う資金としての政策保有株式売却については、前期中の約120億円を含め、今後も株式所有先との対話を進めたうえで経営計画[2022-2024]期間中に計画どおり400億円以上売却します。更に売却を進め、政策保有株式の純資産に対する割合を2025年度末までに20%未満とする計画です。以後も削減を図ります。

経営の方向性について

業績と各種施策は経営計画を上回って推移しており、2024年度まで経営計画通りに進捗する見通しです。今期は前期比で減益の見通しですが、業績説明で述べたように前期に運賃単価の大幅上昇と為替円安という要因があったためです。
中長期的には次の諸施策を講じ経営計画の達成及び「MLC2030ビジョン」の実現を目指します。

● 物流事業の収益力強化に向け、医薬品物流データプラットフォームである「ML-Chain」等により「医療・ヘルスケア」、国内及びASEANにおけるコールドチェーン構築等により「食品・飲料」、電気自動車(EV)の取扱い拡大等により「機械・電機」、更に半導体デバイス材料の取扱い拡大等により「新素材」、以上の重点4分野(カテゴリー)の業務拡大を図ります。

● 港運及び不動産両事業における安定した利益を確保していきます。
 港運事業はDXを活用した施設運営の効率化、高度化を更に推進します。
 不動産事業は不動産賃貸事業の収益基盤を強化し、所有地によらない不動産事業の拡充を推進します。

● 「海外事業の拡大」を進めます。
 当社は今月26日にベトナム・In Do Trans Logistics社への出資、また28日にアメリカ・Cavalier Logisticsグループの連結子会社化についてプレスリリースを行いました。
 ベトナム・In Do Trans Logistics社を持分法適用会社とし、海外での事業拡大を掲げる「MLC2030ビジョン」に於けるアジア地区での展開を進めていきます。
 アメリカ・Cavalier Logistics社を連結子会社とすることで日米欧一体の営業を行い、国内医薬品物流とのシナジーを見込みます。

 「DX」を推進します。
 お客様のビジネスや社会に変化をもたらす「価値の創造」、イノベーション創発のためには先端技術の活用により物流業務・施設運営の効率化・高度化を推進し、それを支える物流プラットフォームサービスの開発が必要となります。この実現にはDXや様々なパートナーとの協創、いわゆるオープンイノベーションが必須であり、社内的にはデジタル化推進チームを設置し、外部パートナーとも連携して先端技術を活用した開発を推進し、またCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を設置してスタートアップ企業との協業を強化します。

 「サステナビリティ経営」を推進します。
 事業を通じて社会課題の解決に貢献します。CO2可視化システムの開発を進め、シミュレーションサービスと実績レポートサービスを開始し、CO2排出量削減に係るコンサルテーションも提供します。また、2030年までに排出するCO2を50%削減します。2050年ネットゼロを宣言するための移行計画を策定中であり、グループを挙げて太陽光発電装置の設置や再生可能エネルギーの導入を進めます。社用車の電気自動車(EV)化も推進します。
更に、人権デュー・ディリジェンスにも取組み、サプライチェーン全体でコンプライアンスを徹底します。

 これらの諸施策の実現可能性を高める「人的資本経営」を推し進めます。
 まず、経営計画及びMLC2030ビジョン達成に必要な人材ポートフォリオを策定し、現状とのギャップを埋めるための人事諸施策を実行します。特に、教育研修プログラムを体系化し、企業内大学を設置します。この企業内大学により、専門分野でのより高度なプロフェッショナルを養成するとともに、次世代リーダーを育成します。
 また、多様な価値観を尊重し、自由に意見を述べあい、社員一人ひとりがその個性と能力を最大限発揮できる組織風土を形成します。その手段としてエンゲージメントサーベイを実施しました。対処すべき課題を洗い出し、対応することで、「働きがい向上」につなげます。

以上のM&A、DX、環境対応及び人材育成に係る戦略投資も積極的に進めていきます。

最後に現在策定中のパーパスについて説明します。
当社はその基本理念として、三菱三綱領「所期奉公、処事光明、立業貿易」があり、企業理念「企業活動を通じ、適正な利潤の確保と会社の安定した成長を図り、社員及び株主に報いるとともに、豊かで持続可能な社会の実現に貢献する」があります。これらの伝統に加え、21世紀における当社の存在意義(パーパス)を明確に、社会課題を解決しながら成長を続ける当社の進む方向性を示すことで、社員一人ひとりが、自分が何をすべきかを常に考え、思いを高め、更に結束できるようにしたいと思います。同時にステークホルダーの皆様に対しても当社の進む方向性を示すものとしてご提示したいと考えております。

以上の経営方針に基づいて、多様なステークホルダーの皆様と対話を重ね、共に成長し、お互いの価値を向上させ、当社グループの持続的な成長を目指します。そしてこれらの取組みを通じて当社の経営戦略が株式市場にも評価され、PBRの向上にもつながるものと考えております。
皆様には、引き続き当社事業へのご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。


    代表取締役 社長
    斉藤秀親